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目 次

. 相続手続はお済みですか?
. 相続手続の流れ
3. 遺言書はありますか?
4. 相続人はどなたでしょうか?
4.1 法定相続人と代襲相続について
4.2 相続欠格とは
4.3 相続廃除とは
5. 相続財産はなんでしょうか?
6. 相続放棄と限定承認について
7. 準確定申告について
8. 遺産分割協議について
9. 調停と審判について
10. 名義変更手続について
11. 相続税の申告と納付について
 

1.相続手続はお済みですか?

 相続財産の名義書換は、ほっておくと次のような問題が生じますので、早めに手続きされることをお勧めします。

預貯金について
金融機関は口座名義人の死亡が確認されるとその口座は凍結されますので、年金等の振込がされなくなると同時に、引き出しができなくなるとともに自動引落もできなくなります。
被相続人(亡くなった方)の財産は、死亡と同時に相続人の分割協議が必要な財産となりますので、相続人全員の合意がなければ、金融機関は引き出しに応じてくれず、預貯金を使うことができなくなります。[平成28年12月19日 最高裁大法廷]

なお、民法改正で、2019年7月1日より新たに「預貯金の払戻し制度」が創設されています。
詳細はこちらからダウンロードしてください。

不動産について
預貯金と同様に、被相続人の死亡と同時に相続人全員の共有財産となります。共有財産は、建物の修理等の現状維持行為は単独でできます[民法252条]が、売却や抵当権の設定には共有者全員の同意が必要[民法251条]で、賃貸借契約をするには過半数の同意が必要[民法252条]となります。
つまり、不動産を有効活用するためには、相続人間で早めに分割協議をして、新たな所有者(相続人)に名義変更されることをお勧めします。

なお、2021年4月の民法及び関連法案の改正等で、所有者不明土地の解消に向けて、近年中に「不動産の相続登記や住所変更登記が義務化」されます。相続が開始したら早めに相続登記を申請されることをお勧めします。
詳細はこちらからダウンロードしてください。

分割協議は相続人全員の同意が必要です
時間が経過すると、それまでの間に推定相続人(現状で相続が発生した場合に相続権があるであろうという人)が増加していき、分割協議が困難となる可能性が高くなると同時に、手続に要する費用と時間を余計に要することとなります。
できるだけ早く分割協議をされることをお勧めします。
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2.相続手続の流れ

相続の手続きは、一般的には次のような流れで進めます。

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3.遺言書はありますか?

被相続人の遺言書があるか否かで、その後の相続手続が大きく異なります。

公正証書遺言書がある場合
家庭裁判所への遺言書の検認や遺産分割協議を経ることなく、相続手続を進めることが可能です。[民法985条][民法1004条2項]

自筆証書遺言書がある場合
相続人を明らかにするための戸籍等を準備して、家庭裁判所へ遺言書の検認を請求し、その後相続手続を進めることとなります。[民法1004条]
検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は5万円以下の過料に処されます。[民法1005条]

なお、2020年7月10日より「法務局において自筆証書遺言書を保管する制度」が創設されました。
詳細はこちらからダウンロードしてください。

遺言書がない場合
共同相続人(相続人が2人以上存在する相続)は、遺産の分割を協議して、遺産分割協議書を作成することとなりますが、協議が調わないときは、その分割を家庭裁判所に請求することができます。[民法907条]

ご注意
相続人と受遺者(遺言書により法定相続人以外で遺贈を受ける人)全員の同意があれば、原則として、遺言書と異なる分割を行うことは可能です。(遺言者が、遺言と異なる遺産分割を禁じている場合や、遺言執行者がいる場合等は注意が必要です。)[民法986条]
また、遺言書があっても、一定の相続人には遺留分(遺族の生活を保障するための財産の一定割合)が認められていますので、必ずしも遺言書通りに分割されるとは限りません。(あらかじめ遺留分を考慮して遺言書を作成するのが一般的です。)[民法1028条]
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4.相続人はどなたですか?

相続手続で大切なことのひとつとして、被相続人の相続人はどなたであるかを確定する必要があります。時間が経過すると、その判断が複雑となりますので、早めに相続手続きを済ませておくことをお勧めします。


 

【4.1 法定相続人と代襲相続について】

法定相続人
相続人になれる人は法律で定められており、これを法定相続人といいます。そしてその順位も定められており、先順位の人がおられると下位の人は相続人ではないこととなります。
第1順位:被相続人の子 [民法887条] ※養子も含まれます
第2順位:被相続人の直系尊属 [民法889条1項1号]
第3順位:被相続人の兄弟姉妹 [民法889条1項2号]
※被相続人の配偶者は常に相続人となります。[民法890条]

同時存在の原則
相続人になれる人は、「被相続人の死亡日現在で生存している法定相続人」が原則ですので、その前に死亡した人は相続人となることはできません。ただし、被相続人の子と兄弟姉妹には代襲相続(後述)があります。

代襲相続
同時存在の原則の特例として、被相続人の子と兄弟姉妹には次の通り代襲相続があります。
被相続人の子が死亡していた場合:その子である孫が、孫も死亡している場合はさらにひ孫が再代襲して相続人となります。[民法887条2項3項]
被相続人の兄弟姉妹が死亡していた場合:その子である甥・姪が代襲相続して相続人となりますが、相続人の子と異なり、兄弟姉妹の場合の代襲相続は甥・姪までで、再代襲が認められていないことに注意が必要です。[民法889条2項]
※昭和55年12月31日以前に開始された相続(甥・姪の死亡)については、兄弟姉妹についても再代襲が認められます。

法定相続分
同順位の相続人が複数の場合の法定相続分は次の通り定められています。[民法900条]
配偶者と子:配偶者1/2 子1/2
配偶者と直系尊属:配偶者2/3 直系尊属1/3
配偶者と兄弟姉妹:配偶者3/4 兄弟姉妹1/4

二次相続
「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。[民法89条]」とありますので、被相続人が死亡したと同時に、相続財産の名義変更の有無にかかわらず、相続財産の相続権はその時点における相続人に承継されることとなります。

例えば、不動産を所有している父Aと、母Bと、子C・Dの4人家族で、母Bには前夫との間の子Eがいる場合で考えてみましょう。

父Aが死亡した場合の法定相続人は、配偶者である母Bと子であるC・Dですので、父Aの死亡と当時に、不動産に対する相続権は母Bと子C・Dが取得します。(一次相続)

その後、B・C・D間で遺産分割協議をすることもなく、不動産名義も父Aのままとなっていたところ、母Bが死亡した場合はどうなるでしょうか。
母Bの法定相続人は、子C・Dだけではなく、子Eも母Bの子ですので、子C・D・Eが母Bの相続人となります。
この場合、不動産の名義変更をする場合は、母Bも不動産の相続権を取得していたので、その相続権を子C・D・E間で分割協議する必要があります。(二次相続)

このように、時間の経過とともに法定相続人が増えて、遺産分割が複雑となる可能性がありますので、相続財産の名義変更はできるだけ早く(この例であれば一次相続のときに)されておくことをお勧めします。
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【4.2 相続欠格とは】

相続欠格事由
相続人となるべき者であっても、次に掲げる相続欠格事由に該当する場合は、相続人となることはできません。[民法891条]
(1)故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡させ、又は死亡させようとして、刑に処せられた者
(2)被相続人の殺害されたのを知って告発や告訴をしなかった者
(3)詐欺または脅迫によって、被相続人の遺言をし、撤回し、取り消し又は変更することを妨げた者
(4)詐欺または脅迫によって、被相続人に遺言をさせ、撤回させ、取り消しさせ、又は変更させた者
(5)被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠ぺいした者

相続欠格の効果
相続欠格事由に該当した相続人は、裁判手続きなどを要せず、当然に相続権を失います。
また、欠格者は遺贈(被相続人の遺言書によって相続財産を与える行為)を受けることもできません。[民法965条]
しかし、相続財産の名義変更をする場合等には、欠格者であることを証明する書類がなければなりません。
その方法としては・・・
本人が欠格事由に該当していると認めている場合は、本人が欠格者であることの証明書を作成し、署名と実印捺印で印鑑証明書を添付します。
認めていない場合は、裁判所に対して、相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えを起こすこととなります。
※具体的な取扱については、司法書士や弁護士にご相談ください。

代襲相続はどうなるのか
欠格者に子がある場合には、その子が代襲相続することとなります。[民法887条2項3項]
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【4.3 相続廃除とは】

相続廃除とは
相続欠格が当然に相続権を失うのに対し、相続廃除は被相続人の意思に基づき相続人の権利を失わせる制度です。[民法892条]
相続廃除の対象は、遺留分(相続人に法律上確保された最低限の財産[民法1028条])を有する推定相続人ですので、直系尊属・配偶者・直系卑属に限られ、兄弟姉妹は含まれません。
なお、廃除された者は、当然遺留分も受けることはできません。

相続廃除の対象となる人物の要点
・被相続人を虐待した
・被相続人に対して極度の屈辱を与えた
・被相続人の財産を不当に処分した
・ギャンブルなどを繰り返し被相続人に多額の借金を支払わせた
・浪費・遊興・犯罪・反社会団体への加入・異性問題などを繰り返すなどの親不孝行為
・重大な犯罪を起こし有罪判決を受けた(一般的には5年以上の懲役判決)
・愛人と同棲するなどの不貞行為をする配偶者
・財産目当ての婚姻関係
・財産目当ての養子縁組

相続廃除の方法と手続
相続廃除には、必ず家庭裁判所での手続きが必要となります。[民法892条893条]
被相続人の生前に相続廃除をする場合は、家庭裁判所に対して廃除請求を行い、調停の審判により廃除するか否かが決定されます。
また、被相続人は遺言で法定相続人の相続廃除をすることも可能です。この場合は、遺言書で遺言執行者を定めておき、被相続人死亡後に、遺言執行者が家庭裁判所に廃除請求をすることとなります。
※具体的な取扱については、弁護士等にご相談ください。

代襲相続はどうなるか
廃除者に子がある場合には、その子が代襲相続することとなります。[民法887条2項3項]
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5.相続財産はなんでしょうか?

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。ただし、被相続人の一身に専属したものは除きます。[民法896条]
具体的には次の通りです。

相続財産に含まれるものの例
・現金、預貯金、有価証券、債権、不動産、自動車、無形固定資産等
・債務、連帯保証人の地位
・生命保険請求権(被相続人が保険金受取人の場合など)

被相続人死亡後も配偶者がその建物に無償で居住できるように、2020年4月1日より、民法で「配偶者居住権」が新設されました。
詳細はこちらからダウンロードしてください。

相続財産に含まれないものの例
身元保証人の地位(一身専属的なもの)
・生命保険金(相続人などが保険金受取人の場合、その者の固有の権利
・死亡退職金(死亡退職金を受け取ることになっている者の固有の権利
・遺族年金(年金を受け取ることになっている者の固有の権利
・香典、弔慰金(葬儀の主宰者である喪主への贈与)
・祭祀財産(祭祀に必要な家系図、墓地、墓石、仏壇、位牌など)

※上記の通り民法では相続財産に含まれないものであっても、相続税法では相続財産に含まれる場合等、取り扱いが異なりますので、詳細については税理士にご相談ください。
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6.相続放棄と限定承認

相続放棄とは
家庭裁判所に相続放棄の申述をして受理審判によって最初から相続人ではなかったことになります。[民法915条・916条・917条・919条]
マイナスの相続財産が多い(債務超過)ときなどになされます。
・相続開始を知った時から3ヶ月(熟慮期間)以内にしなければなりません。
・各相続人単独で申述できます。
・相続放棄は慎重に行わないと思わぬ人が相続人となる場合があります。例えば、被相続人の家族構成が配偶者と子供3名。父と母はすでに他界。被相続人には兄弟2名がいる場合で考えてみます。子供3名は今後の母の生活を考えて、母に全財産を相続してもらうために、3名全員が相続放棄を行ったとします。相続放棄をすると代襲相続ができなくなるとともに、最初から相続人ではなかったこととなるので、この場合の法定相続人は配偶者である母と被相続人の兄弟2名となります。つまり法定相続分は配偶者である母が4分の3、被相続人の兄弟2名が4分の1となります。兄弟3名は母のことを思ってした相続放棄ですが、結局、被相続人の兄弟も法定相続人になってしまい、思わぬ人が相続権を持つこととなります。このように、相続放棄はその後のことを考えて慎重に行わなければなりません。

限定承認とは
家庭裁判所に限定承認の申述をして受理審判によって被相続人の財産のうちプラスの財産の範囲内で相続することになります。[民法915条・916条・917条・919条・922条・923条・924条・925条]
・相続財産が債務超過か否か清算してみなければわからないときなど、相続した財産の範囲のみで借金の返済をしたい場合などになされます。
・相続開始を知った時から3ヶ月(熟慮期間)以内にしなければなりません。
・相続人が数人あるときは、全員共同して申述しなければなりません。
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7.準確定申告について

生前に確定申告の対象者であった人の1月1日から死亡日までの所得について、相続人は税務署に準確定申告を行います。通常の確定申告とは異なり、また相続人が複数いた場合は追加の書類も必要となります。保険料や医療費等の控除についても申請ができますが、対象の範囲が非常に複雑となっています。

準確定申告は、被相続人が確定申告の対象となる自営業者などで、所得があった場合に行います。一定要件に当てはまらない会社員などの場合は年末調整が行われますので、申告の必要はありません。なお、被相続人の前年の確定申告が済んでいない場合(1月1日から3月15日までに死亡して前年の確定申告が行われていなかった場合)は、併せて前年分の準確定申告も行うことが必要です。

準確定申告は、相続人が相続を知った日の翌日から4か月以内に行わなければなりません。

※具体的な取扱については、税理士にご相談ください。
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8.遺産分割協議について

遺産分割協議は全員が合意さえすれば成立するので、必ずしも協議書をつくらなければならないということはありません。しかし、書類にしておかないと協議内容が不明確となったり、後日相続人の中から気が変わったりする者がでて争いが起きる恐れがあります。また、不動産の相続登記や銀行預金を下ろすときなど、遺産分割協議書が必要になる場面が多くあります。よって、協議が成立したら早めに遺産分割協議書を作成することをお奨めします。[民法907条]

遺産分割が禁止される場合
・被相続人の遺言で、一定期間、遺産の分割を禁ずる定めがある場合[民法908条]
・共同相続人間において、分割禁止の特約がなされている場合[民法256条]
・家庭裁判所の審判によって、一定期間の分割禁止が命じられた場合[民法907条3項]

遺産の分割の効力
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生じます。ただし、第三者の権利を害することはできません。[民法909条]

寄与分とは
被相続人の財産の維持または増加について特別に寄与した相続人に遺産分割協議にあたって、法定の相続分を超える財産を取得させることにより共同相続人間の衡平を図る制度です。寄与分は共同相続人全員の協議によって決めるのが原則です。[民法904条の2]

2019年7月1日より、相続人以外の被相続人の親族が無償で被相続人の療養看護を行った場合には、相続人に対して金銭の請求ができる「特別の寄与の制度」が創設されました。
詳細はこちらからダウンロードしてください。

特別受益者とは
被相続人から生前に生計の資本として贈与を受けた者などをいいます。特別受益の部分を相続財産の前渡しとみなして、相続開始時の財産価額に加えて「みなし相続財産」として計算します。(特別受益の持戻し)寄与分同様に共同相続人間の衡平を図る制度です。[民法903条]
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9.調停と審判について

どうしても相続人同士の意見が異なり遺産分割協議で話がまとまらなかった場合には、家庭裁判所に対して調停を申し立てることとなります。

調停とは
調停委員が中立的な立場の第三者となって相続人の話し合いを仲立ちし、相続各人の納得いく分割案をまとめるためにサポートしてくれる制度です。
調停を申し立てる裁判所は、調停の相手方となる相続人の住所地を管轄する家庭裁判所になりますが、相手方が何人もいる場合は、その中の一人の住所地を任意に選択して申し立てることもできます。ただし、相続人全員で合意すれば、別の家庭裁判所に申し立てても構いません。

審判とは
いくら調停の期日を重ねても遺産分割がまとまらない場合には、最終的に審判によって決着がつけられます。
審判は、家庭裁判所が職権に基づいて遺産分割の内容を決める手続きのことです。審判になった場合、家庭裁判所から強制的な解決案が出されますので、内容によっては相続人が損をする場合(例えば不動産の任意売却)もあり得ます。
※具体的な取扱については、弁護士等にご相談ください。
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10.名義変更手続について

これまでの手続きが終わりましたら、最終的には相続した財産を、それを相続した相続人の名義にしなければなりません。ここでは主なものとして「預金」と「不動産」の名義変更についてご説明します。

不動産
土地・家屋などの不動産を相続した場合、その相続人は地方法務局で「相続による所有権移転登記」の手続きをする必要があります。
遺産分割をした不動産の所有権を第三者に主張するには登記が必要です。
たとえば、いつまでも移転登記をしないで放っておくと、他の相続人が勝手に共有相続登記をして、その持分を第三者に譲渡してしまってトラブルとなったりする場合があります。
このようなトラブルを防ぐためにも、できるだけ早く登記手続きを済ますほうが安全です。
※具体的な取扱については、司法書士にご相談ください。

預金
口座名義人が亡くなられた場合、相続人や遺言執行者等が預金の相続(払戻し等)の手続きを行う必要があります。
(1)遺言書がある場合の必要書類
①遺言書
②検認調書または検認済証明書(公正証書遺言以外の場合)
③被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
④相続される方(遺言執行者がいる場合は遺言執行者)の印鑑証明書
(2)遺言書がない場合の必要書類
①遺産分割協議書(法定相続人全員の署名・捺印があるもの)
②被相続人の除籍謄本、戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
③相続人全員の戸籍謄本
④相続人全委員の印鑑証明書
相続の方法や内容、お取引金融機関により、必要となる書類が異なる場合がありますので、くわしくはお取引金融機関にお問い合わせください。
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11.相続税の申告と納付について

被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に相続税の申告及び納付をする必要があります。(「各相続人の課税価格の合計額」が「基礎控除」以下であれば相続税申告の必要はありません。)
相続税計算の主な流れは次の通りです。

1.課税価格を計算します
「課税価格」とは相続税が課税される相続財産のことで、民法で定める相続財産の範囲とは一部異なりますので注意が必要です。
「課税価格」=「本来の相続財産+みなし相続財産+相続開始前3年以内の相続財産+相続時精算課税による贈与財産」-「債務+非課税財産」
※「みなし相続財産」とは、受取人固有の権利である生命保険金や死亡退職金のことです。
※「非課税財産」とは、死亡保険金と死亡退職金の一定額、墓地、仏壇、一定額までの弔慰金等です。

2.課税遺産総額を計算します
「課税遺産総額」とは、各相続人の課税価格の合計額から基礎控除額を控除して得られる金額のことです。
「課税遺産総額」=「各相続人の課税価格の合計額」-「基礎控除」
※「基礎控除」とは、「3,000万円+(法定相続人の数×600万円)」で得た金額です。
※「各相続人の課税価格の合計額」が「基礎控除」以下であれば相続税申告の必要はありません。
※法定相続人に人数について、相続放棄があっても放棄がなかったものとして人数にカウントします。また、養子の場合には相続税法上では人数に制限があります。

3.相続税の総額を計算します
相続税は、まず法定相続分通りに遺産を分割したら相続税の総額がいくらになるかを計算します。
(1)「課税遺産総額」×「各人の法定相続割合」=「各人の遺産総額(A)」
(2)「各人の遺産総額(A)」×「相続税の税率(10~55%)」=「各人の税額(B)」
(3)「各人の税額(B)」を合計する=「相続税の総額(C)」

4.各人の相続税額を計算します
相続税の総額がでたら、最後に各人の相続税額がいくらになるかを計算します。
(1)「相続税の総額(C)」×「各人の実際の取得割合」=「各人の相続税額(D)」
(2)「各人の相続税額(D)」±「各人の個別の事情」
※「各人の個別の事情」とは、配偶者の税額軽減(法定相続分と1億6,000万円のいずれか多い額)、配偶者・子・直系尊属・代襲相続人である孫以外は相続税2割加算、その他各種控除制度等があります。

※具体的な取扱については、税理士にご相談ください。
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