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目 次

1.相続した不動産の名義が昔のままですが何か問題がありますか?
2.相続財産の中の借金は、誰が返済義務者でしょうか?
3.保証債務(連帯保証等)も相続されるのでしょうか?
4.相続財産のほとんどが借金ですがどうにかなりませんか?
5.判断能力のない方がおられて分割協議ができない場合はどうしますか?
6.遺言書と異なる内容の遺産分割を行うことはできますか?
7.遺産分割協議がまとまらないときはどうすればよいですか?
8.生前贈与について注意すべきことはありますか?

1.相続した不動産の名義が昔のままですが何か問題がありますか?

令和3年4月28日に改正不動産登記法が交付され、以前は義務とはされていなかった相続登記が、令和6年4月1日より義務化されました。
改正不動産登記法においては、「相続が開始して所有権を取得したことを知ってから3年以内に相続登記をしなければならない」とされています。
期限内に相続登記がなされないと、10万円以下の過料が課される可能性があります。
また、法的な義務ではなくとも、長年にわたり名義変更を放置しておくと、実務的には次のような問題が生じてきます。
(1)不動産を売却したり担保に提供したりすることができない。
(2)相続人が増えてしまい、分割協議が困難となり、結局費用と時間を余計に要する。
相続が発生したら、なるべく早く相続人間で分割協議を行い、名義変更をされておくことをお奨めします。

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2.相続財産の中の借金は、誰が返済義務者でしょうか?

相続はプラスの財産だけではなく、債務(借金)などのマイナスの財産も相続します。
債務は相続開始とともに共同相続人に相続分に応じて自動的に相続され、遺産分割協議書で特定の人に債務を相続させると決めていても、それを債務の債権者に主張することはできません。
ただし、この遺産分割協議書は共同相続人間では有効ですので、もし特定の人以外が債権者に支払った借金は特定の人へ請求することができます。
実際の銀行取引等においては、権利関係が複雑になるので、相続人の中から特定の承継人を決め、その承継人と金融機関との間で改めて債務の引き受契約を取り交わすのが一般的です。

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3.保証債務(連帯保証等)も相続されるのでしょうか?

連帯保証等の保証債務も、原則として相続人に承継されることとなります。
この場合、その責任はそれぞれが法定相続分に応じた割合での保証債務を負担することになります。
相続人間で、特定の相続人にこの保証債務を引き受けさせるとの合意をすることはできますが、その場合、債権者である銀行等の同意が必要です。
尚、根保証債務の場合は次の通りとなります。
(1)限度額の定めのある根保証の場合、保証債務全体が相続の対象となりますので、保証人が死亡した後発生した債務についても相続人に承継されます。
(2)限度額の定めのない根保証の場合(現行民法465条の2第2項施行前に締結されていた契約等)、「相続発生時点で既に発生している債務」を除いて相続の対象外としています。

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4.相続財産のほとんどが借金ですがどうにかなりませんか?

相続財産の一切(プラスの財産もマイナスの財産も)を承継しないようにするために、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に対して「相続放棄の申述」をすることができます。
相続放棄がなされると、その人は、その相続に関しては初めから相続人ではなかったとみなされ、代襲相続も生じません。
尚、先順位の相続人全員が相続放棄すれば、後順位の人が相続人になりますので、相続放棄をする時は次順位の相続人を含め全員で申述することが肝要です。

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5.判断能力のない方がおられて分割協議ができない場合はどうしますか?

遺産分割は法律行為ですから、これをするには判断能力が必要であり、判断能力がない方と協議しても無効となってしまいます。
そこで、家庭裁判所に成年後見開始の申立てをして、選任された成年後見人と遺産分割協議をします。
遺産分割協議につき急を要し、成年後見人選任を待てない場合は、成年後見開始の申立てと同時またはその後に財産管理者の専任申立てをすることができます。

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6.遺言書と異なる内容の遺産分割を行うことはできますか?

原則として、相続人全員(受遺者を含む)の同意があれば、遺言と異なる遺産分割協議書は認められます。
ただし、次の場合は問題がでてきます。
(1)遺言者が、遺言と異なる遺産分割を禁じた場合
(2)遺言執行者がいる場合は、遺言執行と矛盾していないこと、あるいは遺言執行者の同意が必要
(3)遺言の存在を知らない相続人がいる場合(錯誤による意思表示で無効となります)

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7.遺産分割協議がまとまらないときはどうすればよいですか?

各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に対して請求(遺産分割調停の申立て)をすることができます。

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8.生前贈与で注意すべきことはありますか?

生前贈与をする場合は、次の通り注意しておく必要があります。
(1)贈与税が課税される可能性がありますので、贈与税の控除や特例について、税理士へ事前相談されることをお奨めします。
(2)不動産を贈与(名義変更)する場合は、相続する場合と比較して、登録免許税や不動産取得税等の費用が高額となる可能性があります。
(3)特定の推定相続人に生前贈与をすると、相続が開始したときに、相続人間で不公平が生じる可能性がありますので、「特別受益」や「特別受益の持ち戻し」への影響を考慮しておく必要があります。

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