目 次
1.夫婦共同で遺言をすることはできますか?
2.認知症の方が遺言をすることはできますか?
3.遺言書はどのように保管すればよいのでしょうか?
4.遺言の撤回や取消しはできますか?
5.遺言者が先に死亡した場合はどうなりますか?
遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることはできないとされていますので、たとえ夫婦であっても同一の証書を用いて夫婦共同で遺言をすることはできません。
遺言者が15歳以上で、遺言を書いた時に判断能力を有する人であれば、遺言をすることができます。
遺言者が成年被後見人である場合、医師2名以上の立会い等の要件のもとで遺言をすることができます。しかし、仮に医師2名以上の立合いをして遺言書の作成をしても、遺言時点で遺言者が事理を弁識する能力がないと判断されれば遺言が無効となります。
公正証書遺言の場合は公証役場で保管されますので、特に留意する点はありません。
これに対して、自筆証書遺言や秘密証書遺言は保管について法律に特に規定はありません。遺言者自身が保管することも考えられますが、遺言執行者、行政書士等遺言の内容に利害関係のない第三者に保管を依頼するか、銀行や信託銀行に預けておくことが考えられます。
遺言者が遺言書を撤回することは自由ですし、遺言者が遺言書を破棄すれば撤回したものとみなされます。
しかし、公正証書遺言については、原本が公証役場で保管されているため、正本を破棄しただけでは撤回したとはみなされません。
例えば、遺言者が長男と二男に相続させる遺言をした場合に、万が一、長男が遺言者よりも先に死亡したときは、遺言のうち、長男に相続させることにした部分が失効するので、長男に相続させようとした財産は、当然には長男の子供に相続させることにはならず、相続人間で改めて遺産分割協議をしなければ、その帰属が決まらないこととなります。
そこで、そのようなことがないように、遺言においては予備的な遺言(長男が遺言者に先立って又は同時に死亡したときは、長男に相続させるとした財産を長男の子供に相続させる。)を記載することをお勧め致します。